欧州建築行脚25 スイス ラ・ショード・フォン/ロレックス・ラーニングセンター
7月8日金曜日。
今日はル・コルビュジエの源流巡り。生まれ故郷ラショードフォンをめぐり、そのあとSanaaのロレックス・ラーニングセンターへ。
ジャンヌレ・ペレ邸
ル・コルビュジェの両親のための家。
リビング。窓からの光が明るく、温かい。ちょうどいい場所に椅子が置いてあった。花柄の壁紙をしたリビングは少しトラディショナルな感じを残しつつも、モダン。暖炉とピアノ、時計が空間のポイントになっている。この住宅をほぼ自分と同年代の時期に建てているのだから、これほど恐ろしいことはない。
階段にコルビュジェらしいカラーを感じた。結局なぜその色を選んでいるのかはわからないけど、当時から色の意識は間違いなくある。家具も作品集に載っているモダンな家具はひとつもなく、トラディショナルスタイル。クッションなど、ところどころに緑色が配色されている。
けどこの住宅から、シトロエン型住宅やサヴォア邸が生まれたと考えると、それは大きな革新だったと、納得できる。動線計画や敷地の取り入れ方、景色の切り取り方や色彩の使い方など。どれをとっても良くなっているし、パッと見ただけだとその発展のつながりはわからない。
ただ、庭とのつながりに関して、サヴォア邸と共通するものを感じた。壁によって仕切られた庭を、リビングに引き込めるようになっている。決して開けすぎた庭じゃなくて、白い壁によって空間を規定している。
ファレ邸・ジャクメ邸・ストツェール邸
コルビュジェの最初期の作品。美術学校でアール・ヌーヴォーの先生レプラトニエから学んだ影響もあり、自然をモチーフにしたファサードが目立っていた。
テラスや大屋根が特徴的な家々だけど、結構スイスの伝統的な家屋にのっとっている部分も多いのかな。中は入っていないのでわからないけど屋根形状などは明らかにそう。
石積みなどかなり有機的なデザインで、用いる材料はどちらかというとライトを思わせる。この時期には未だ近代建築への衝撃は発表していない。ただ18歳にしてこんなにも立派な住宅を設計しているル・コルビュジエは恐ろしい。自分も早く経験したい。経験して初めて学べるものも多い。アグレッシブにそのチャンスを掴んでいかなければ。
ロレックス・ラーニングセンター
ここから昨日知り合った先輩方と合流。
この形が浮遊感を作っている。室内にいながら外の遠景と下階をくぐる人々を同時に見られるのはいいなぁ。
構成は単純。でも空間は多様。日光が上から横から下からいろんな方向から差し込み、同じ高さレベルを共有する人はいない。人それぞれ見ている景色は全然違うし、みんなが直感で気持ちよさそうな場所を選び、居座る。建築ってこんなに人々を楽しませられるものなんだって改めて。誰にでもわかる、ワクワクするような空間。
一期一会
パリ留学中のりこさんと、九大博士課程のちさきさん。昨日知り合ったとこだけど、もうお別れ。楽しかった。また九州遊び行きます!!
最後に
安倍元首相が暗殺された。聞いて耳を疑った。長い間日本を引っ張ってきたリーダー。ご冥福をお祈りします。