原浩二先生の設計手法

お庭リビングの家

5月19日木曜日。

午前・午後、原事務所バイト。補助金申請と模型製作。原さんの建築の立ち上げ方を学ぶ。今回島根大学の次の課題の説明用資料として、1/300のボリューム模型を製作する。

原さんの建築設計プロセスを勝手に解釈するとこうだ。

⑴空間のイメージ
まずはじめにどんな空間が考えられるのか、コンセプトイメージを頭の中で描く。やはりこれは原さんの今までの経験から培われてきた建築観「人と人の関係を生み出せる外部空間」が現れていると思う。

⑵スケッチ形を作り出す①平面スケッチ
頭の中で漠然としたイメージが浮かぶと、それを敷地図にスケッチで建築というスケールを伴う「もの」に変換していく。1/300の小さな敷地でも、ある程度のプランが成立するスケール感を伴っているのには少し驚いた。

⑶スケッチで形を作り出す②断面スケッチ
おおよその形のイメージをスケッチに落とし込むと、断面からプロポーションを決定していく。この時、屋根の形、敷地の段差形状も考慮し計画する。

⑷ボリューム検討(模型)
形のイメージがある程度固まると、模型からプロポーションをさらに洗練させていく。屋根勾配、固まりの重さ軽さを感覚的に見ていく。ちなみこのバランス感覚は経験からくるものだという。図面では捉えづらい立体的なイメージを具現化する。

⑸プランスケッチ→基本設計の完成
最後に作られたボリュームの中にプランを「おさめる」。ここで具体的な生活のシチュエーションが見えてくる。人がどういう動線を歩くのか、どんな場所で腰掛けるのかなど、あらゆる場面が想定される。

⑴〜⑸のプロセスは必ずしも順番通りというわけではなく、常にシームレスに行き来しているが、建築の骨格をつくっていく大枠はこうではないだろうか。

大事なことは、⑷のプランは「おさめる」ということ。建築はもちろんプランやプログラムがなければ成立しない。しかし建築の持つ力というのはすなわち空間の力であり、形によって作り出される空間に人々は動かされる。形として魅力的なものを生み出してから、それにマッチするプログラムを探し出す。

例えば今回の課題では水辺との関係性がテーマとなる。川と建築の関係性を形で考え、魅力的な人の動きが現れそうな水辺空間を考える。建築が立ち上がったときに初めて、住居や店舗など、プログラムを挿入し、プランを「おさめて」いく。

建築がイメージから具体的な形へと変化をとげていくプロセスはやはり興味深い。残りの一年のバイト生活で、さらに詳しく設計理念など紐解いていきたい思った。

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