欧州建築行脚36 ミラノ barbershop /ドゥオーモ/サンカルロ病院礼拝堂/ガララテーゼ集合住宅

7月18日月曜日

Barbershop

普段髪切ってもらってる哲さんに教えてもらって、ヨーロッパでバーバーショップに行くと宣言。ヨーロッパマストリストを一つクリア。バーバーショップは「理髪店」という意味。オシャレの代名詞。髪切る以外にちょっとしたドリンクのもてなしもある。今回はエスプレッソコーヒー。

店員さんも気さくで腕も良く、いい感じになった。そして16€(2200円)という安さ!とにかく、ミラノというファッション最先端の地で行けてよかった。

ドゥオーモ

ゴシック建築の最高傑作と言われている作品。135本の尖塔で構成されているとんでもない教会。ただただディテールの量に圧倒される。

通常の教会とは違って身廊・側廊といった構成ではなく、側廊が2つあるような平面構成。平面的に水平方向の広がりがあるからか、通常のゴシック教会よりも垂直方向の流れはないけど、プロポーションは安定している気がする。

光に関してはあまり印象的ではない。光は側廊が一つの方が象徴的に見える気がする。情報過多な空間だけに、メインが定まっていないような感じ。

装飾の量が桁違いでどこを見たらいいのかわからない。彫刻に関してもっと勉強しておけばよかったとも思う。

にしてもキリスト教、カトリックってどれだけ力を持っていたんだろう。ヨーロッパの生活にすごく溶け込んでいるというか、キリスト教全体の生活というか。宗教の感覚が全然わからないから、教会建築の真髄を感じ取れていない気がする。信仰ってすごいもんなんだろうな。

ガッレリア

建物と道の反転図式。たてものとた建物と建物を渡すようにアーチとドームの屋根が架けられ、建物のファサードが内部空間となっている。ガラスの屋根だから内側に光が差し込む。黄色く統一されたファサードはアール・ヌーヴォー風の屋根の鉄骨といいコントラストを作っている。床の模様も面白い。排水溝をカムフラージュするかのようにカラフルな床が敷かれていた。

サンカルロ病院礼拝堂

ジオ・ボンティによる教会建築。ジオ・ボンティおなじみのクリスタルのような形態をした6角形が平面形態、窓にふんだんに取り入れられている。テーマは光らしい。たしかに、四角い窓と比較すると伸びやかな印象的受けるが、ジオ・ボンティが何をもってこの形態に行き着いたのかはわからない。

教会ってなんなんだ。見れば見るほどわからなくなっていく。キリスト教ってなんなんだ。教会建築を見続けて、何か見えないものを信じるって難しいと思った。建築をモノとして見た時、光がいいとか、形がいいとか思うことはいっぱいあるけど、建築を教会というプログラムを付け加えて見て見てみると、途端にわからなくなる。信仰する場所って、すごい抽象的なプログラム。

美しい形ってのも難しい。ル・コルビュジエは直角のものに比例を与え、それが美しいとする。ジオ・ポンティはおそらくこの6角形に全てを込めている。けど難しすぎて、形そのものに美学の全てが現れるのかなんて疑ってしまう。近代建築の美学は基本的には抽象化に依っていると思う。頭で理解するまでよくわからない。けど頭ではわかっていても、身体で感じられなければ意味がない。頭と身体両方で感じられるような建築を作りたい。

おそらく建築で大事なのは教会というプログラムではない。教会という建築を通して人々が心休まる場所だったり、人と話したり、飲み食いできたり、考えたり、いろんな人のいろんな心と行動を許容できる場所が提供されていることが大事。何年も続く大聖堂とかは、街にとってのこの役割を担い続けて、シンボルとして成立したんだなぁ。そのための形だし、場所だし、光だったりする。アートである必要もあるんだ。

ガララテーゼ集合住宅

アルド・ロッシによる集合住宅。バスで向かおうとするも、おなじみのバス来ないやつ。仕方なく1時間弱歩くことに。今日は体感この旅行一暑い日だったから残り少ない水との戦いだった。途中公園の水道を見つけて救われる。

着いた!と思ったら今度はセキュリティが厳重で、来訪者は入れなさそう。そこで車が入るタイミングでゲートが開くタイミングを見計らって侵入。でも、すぐに見つかって警備員に怒られた。

建築は複雑。「ロッシの建築には事実から構想された歴史からではなく、むしろ(ロッシの)記憶という無言の心象風景から紡ぎ出される類推的表微作用が浸透している」とガイドブックに書かれている。そんなこと言ったら誰でもそうじゃないの?と思ったけど、彼が見た風景が形象として現れているらしい。哲学が絡んだ形態操作は難しすぎる。もっと違う記憶の形象の仕方とかあるんじゃないのか?メタ言語でしか語れない建築はあまり好まない。現段階自分はそんな建築を作りたいとは思わないけど、今後哲学を極めていくと、そんなところに行き着くんだろうか。

サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会

レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」が描かれていることで有名な世界遺産登録の教会。残念ながら内部は儀式中でチラ見しか出来なかった。修道院の回廊だけ回って帰路に着く。

晴れ晴れとした気分になれる回廊。白い柱、赤い煉瓦の地面とアーチ、そして瓦が使われている。控えめな木々。光はオープンで開放的。心地よい。苦しくない。厳しくない清々しい回廊。ロマネスクの修道院とは対照的。理由は柱か壁かの違い。石積みの壁は光を絞って集中的に光を制御する。対して柱でできた回廊は光があらゆる空間に届くから、緩やかな時間を感じられる。

ファンタオレンジ

流石に今日は猛暑の中バーバーショップから始まり、5つの建築を見歩いて身体が疲れた。パンが喉を通らない予感と糖分と冷たいものを猛烈に欲していたからファンタオレンジを購入。晩ごはん(パン)と一緒に流し込んだ。健康第一。ファンタオレンジ最高。おかげで超回復。

ヴェネツィアへ

最終列車で約3時間半かけてヴェネツィアへ。SIRUP聴きながらブログを書く。日本でよく聴いていた曲をこっちで聴くと高揚した気分が少し落ち着く。ナショナリズムって染み付いてるんだなぁってしみじみ。

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