欧州建築行脚31 マルセイユ ユニテ・ダビタシオン
7月13日水曜日。
朝バス停に行くと、水曜日にはバスが出ないことが判明。結局駅まで1時間半くらい歩くことになって、散歩しながら話しながら景色を見ながらゆっくりと向かう。田舎ってのは大変だ。しずかがまさかの駅まで送ってくれる。色々本当お世話になった。
アヴィニョン
昨日アヴィニョンを見れなかったので、2時間弱ほど散策。教皇庁を見学。歴代の教皇がアヴィニョンに住んでいたらしい。
タブレットでバーチャルの室内復元を見ることができた。ほとんどクラスやカーテンでカラフルに仕上げられていた。昔は建物とインテリアが結構分かれていたみたい。にしても西洋建築は絨毯、カーテンなどいろんな建築に付随するものの装飾が多い。
マルセイユの街
建物が山のように連なっている。その先にカテドラル。ターナーの絵に出てきそうな景色。船のマストが並んでるのがすごい印象的。ヨーロッパの空は霧がかからなくて、遠い景色まで透き通って見えるのがすごい。何層にも及ぶ遠景が重なって美しい。
ユニテ・ダビタシオン
今日の宿。いつもレベルの安宿を3泊できる値段、90€。ル・コルビュジエを感じるための旅行だから払う。建築はお金がかかってしょうがない。
屋上が気持ちいい。周りの山々、街、海、全てが見渡せる。屋上のプールなんかは子どもたちで賑わっていて雰囲気のいい場所だった。夜になると若者が彫刻的な排煙装置にもたれかかってワインを飲んでいる。
屋上がパブリックに開かれているっていいなぁ。
部屋
庭ってこんなにも気持ちいいのかとおもった。景色は開かれていて、身近な街から遠い山の風景まで見渡せる。夕方は日差しがそんなに強く部屋に入ってこなくて、程よい光が差し込む。逆に朝は朝日がしっかりと入ってくる。健康的な生活って感じ。もちろん夜の景色も素晴らしい。はじめは小さい部屋だな〜と思ったけれど、庭があるインパクトはデカく、狭さを感じさせない。ル・コルビュジエ建築を巡っていると、つくづく敷地と建物の関係性の大切さを思い知る。
部屋の機能はベッドと机、洗面台とシャワー、それから収納のみ。トイレは一つ扉を出たところにある。最低限の設備。でも机が比較的大きくて、作業が捗った。机と収納は思ったよりも大事そう。
カラーリングは主に青。巾木、収納、扉、鏡の枠が青く塗られ、ところどころランプやタイルに黄色、赤が使われている。
モデュロールをもとに決められた寸法も心地よかった。今回ベッドは関係ないと思うけど、2.26メートルの天井高は居心地がいい。庭の高さは1130。これもなかなか収まっている。
1ヶ月
1ヶ月間旅してきた。ル・コルビュジエに関してはだいぶイメージが変わった。気持ちいいと思えるものが多いし、また分からないこともいっぱいある。建築を考えるにはいい対象だと思う。
けどまだまだ、全然自分のビジョンは見えてこないし、巨匠たちの作った建築をいっぱい見て、将来設計なんてほんとにできるのかとか思えてくる。彼らのエネルギーのかけ方が尋常じゃなくて身震いする。彼らは人生懸けてるんだよなぁ。
旅することで勝手に自分がいい方向に変わってくれることなんてあり得なく、想像以上に自分は変わらない。ここまでかなりのお金をかけて旅しているという現実と、あと1ヶ月半でこの旅が終わることを考えると焦る。もっと旅を通して、色々深めていきたい。