欧州建築行脚13 ルイ・ヴィトン財団/ラヴィレット公園/ガルニエ宮オペラ鑑賞

6月26日日曜日。

今日は刺激の多い盛りだくさんな1日。

ルイ・ヴィトン財団

HANTAIという展覧会をしていた。抽象芸術を目にする。細かなテクスチャが無造作に美しく貼られた作品。作風は似ていても、色によって全く感じ方が異なる。ピンクをベースに黄色やオレンジが入り混じったこの作品はとても明るい気分にさせてくれた。体内でうごめくポジティブなイメージが弾けるような感覚。人は色にかなり感情を動かされる。

テクスチャの細かさ、色の多さ少なさ、線の多さ少なさで本当に感じ方が違う。さらにはテクスチャのムラ感や、擦れ具合でもまったく違ってくる。これは建築でも同じだとつくづく思う。色を散りばめる事でいろんな感覚を引き起こすことができると思う。さらには色じゃなくても、形やさまざまなスケールを用いて面を構成する方法は幾重にも及ぶ。ただボリューム操作が建築を決定づけるのではない。それ以外の構成方法はいくらでもあると思わされる、そんな作品。

赤、やっぱり生命のエネルギーを感じる。怒りも嬉しさも幸せも、全て含んで生きるという喜びを押し出したような間隔。

黒、人間の善悪の二面性を持っているように思う。必死に悩んで暴れている心の中を映し出しているように見える。

青、理性。とても安定した心情を表現しているのかもしれない。トゲトゲしい線の集合も、青い色彩が包み込んでいるかのよう。

ミントグリーン、やさしさか?けれど少し疲れてしまったネガティブが入ったやさしさかもしれない。

面を線にしていくと、動きが出てくる。動きというのは感情を揺さぶる。

アート空間に没入できるのも建築のいいところ、まさに総合芸術。壁画と建築の境目が分からなくなった。こういった空間で生活するのも悪くないと思う。

そして本題のフランクゲーリー設計によるこの美術館。造形で圧倒する建築家っていうのは写真で見て知っていたけれど、実際の建築に入ってみて、その偉大さを身に染みて感じた。ただただ造形が奇抜なだけでなくて、それによってできる空間がすごく気持ちいい。テラスなんかは見たことがない動線だし、グニャグニャしてるけど、一つ一つ楽しめる場所になっているし、外の景色までもいろんな切り取り方があって面白い。形の力を本当に実感できた建築。多様な空間とはこういうことを言うのかと。

どうやってスタディするんだろう。この奇抜な建築を作るのは本当に大変だったと思う。けれど、普段設計で構造など考えるときに排除してしまっているアイデアの形でも、この建物を見るとなんでもできてしまう気がする。建築の可能性と強さが感じられた。

ラヴィレット公園

バーナード・チュミによる設計で、フォリーによる点、プロムナードによる線、緑による面、これらの構造をダイアグラム的にレイヤーに分けて設計したのだという。フォリーの赤が特徴的だったが、フォリー自体が使われている様子はあまりないように思った。ただ、フォリーがあることによって公園に締まりが出ているような印象も受ける。結構人はごった返していて、公園の使われ方としてはカオスだと思う。このカオスがおそらく良くて、子どもたちがサッカーしたり、若者がだべったり、音楽を奏でていたり、、この光景はあまり日本では見られなくて、ヨーロッパだからこその活気なんだと思う。

フィルハーモニー・ドゥ・パリ

ジャンヌーベル設計による音楽ホール。言葉で表現できないような造形美。こちらもギンギラギンですごく迫力がある。うねるような形と、多面体が絡まり合ってできている。今回も造形に度肝を抜かれた。力強さ、かっこよさ、シンボリック、こんな建築ちゃんと作れるんだという驚き。言葉が貧弱で出てこない。

ガルニエ宮オペラ プラテー

今夜はガルニエ宮のオペラを予約した。すごい人気で、チケットはほぼ売り切れていて取ったのは140€、日本円にして2万円。学生の安いやつが取れていれば25€くらいだったけど、、。ガルニエのオペラ座でオペラを鑑賞する、パリで絶対にやりたいことだったので奮発。全身モノクロコーデでキメていく。

ガルニエ宮というだけあって、中は紳士淑女の遊び場という感じ。シャンパンを飲みながらスーツ、ドレスの男女が鑑賞前にホールでおしゃべりを楽しみ、ベルが鳴ると席に着く。ホールも劇場もどこもかしこも装飾が素晴らしく、映画の中にいるかのよう。貴族になった気分。

プラテーのあらすじは、ざっくり言うと妻の嫉妬をなくすため、一度カエルのひどい女に求婚して、笑いをとって夫婦仲良く幸せになり、逆にカエル女はひどく落ち込んで池にダイブするというエピソード。
予習と英語字幕(めちゃくちゃ小さい字だった)のおかげでなんとかストーリーはついていけた。

喜劇だから、いろんなところでお茶目な動きや遊びが入ってきてずっと楽しめる。中でも女神が劇団音楽家達に割って入って乗っ取る場面はおもしろかった。ダンスと音楽のミックスで作るストーリーはやはりいい。

建築、音楽、舞台装置、装飾、絵画、ダンス、歌。あらゆる芸術が重なり合って作り上げられるオペラを始めて鑑賞して、これ以上ない感動を味わって、大満足な1日だった。こういった舞台芸術に将来なんらかの形で取り組めたらいいな。

ムール貝ディナー

岩見がムール貝を激ウマ料理してくれた。こっちはムール貝がマルシェで安く手に入る。フランス人の友人から教えてもらったという激ウマレシピで調理。濃厚クリーミーでマジ美味かった。

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