欧州建築行脚11 ル・ランシーの教会/Palais d'Abraxas/Picasso's Arenas

6月24日金曜日。

ル・ランシーの教会

オーギュスト・ペレによる初の鉄筋コンクリート教会。鉄筋を張り巡らせるために(多分)、ステンドグラスを細かくし、格子になった壁面に付けている。正面は青色のステンドグラス、側面は黄色がかったステンドグラスが使われていて、コンクリートの落ち着いた質感と相まって、非常に落ち着いた、美しい空間が出来上がっている。ロマネスクの落ち着いた感覚とも、ゴシックの激しい感覚とも異なる、新しい空間体験。コンクリートの質素とも、重厚とも取れるこの暗い質感が、ステンドグラスの明かりを際立たせて、全面光に包まれた感覚になる。コンクリートが色彩を持たないというのは特徴的なことなのかもしれない。

ステンドグラスはさまざまな模様が描かれる。これはこの教会に限ったことではないけれど、壁にストーリーを埋め込むっていうのはかなりおもしろい。しかもそれが光となって照らされる。光は影でデザインされ、輪郭によっても色彩によっても異なるストーリーを描き出す。なかなかステンドグラス的な光の扱いを手法として扱っている人はいないんじゃないか。もっと大々的にやったら面白いかも。

バスの遅延40分

次にリカルド・ボフィルへいって、そのあと少し遠くのマリオ・ボッタによる教会堂を見に行く予定。しかしバスが定刻になっても一向に来ない。定刻は13:52分発。14時になっても来ないから、周りの人たちもざわめき始める。次の便が14:19分発。なんと14:20になっても来ない。反対車線はきてるのに、、。さらに次の便はというと12:30。12:32になってようやく来た。フランスのバスというのはあてにならないな。これのせいで、マリオ・ボッタは明日へ持ち越しとなった。

リカルド・ボフィル Palais d'Abraxas

低所得者のための集合住宅。まじで宮殿みたい。リカルド・ボフィルの建築はいつも広場が作られている。それも、かなりマッシブな建築によって形作られた広場。求心的。なんでだろう。象徴的な建築を求めているのだろうか。
日本とは全く感覚の違う外部空間の作り方。日本ではさりげない、ボリューム感の強すぎない、自然な会話が生まれそうな外部空間を求める傾向にあると思う。けれどフランスに来てみると全然違う。そもそも軽い建築がなくて、さりげなく交流ができる外部空間を作ろうなんて発想はおそらくない。そんなことしなくても自分達で勝手に交流すふし、カフェやバーには必ずテラス席があって、外でご飯を食べるのも普通だし、外部空間なんていくらでもある。日本での外部空間の発想は日本人のシャイな文化から来てるのではないかとすら思ってしまう。

すごく治安が悪いから気をつけてと言われていたので、誰かやってきたら仕留めてやるくらいの心持ちと覚悟を持って訪れた。気持ちで負けたら絶対にダメだ。襲ってきたら殺し返すくらいの気持ちを持っていく。結構建物は汚い。ゴミも散乱してるし、ガラの悪そうな兄ちゃん達もいる。

侵入

けど中が見たかった。なので忍び込めそうなら忍び込もうと意気込んでいった。何棟がある建物のうち、円形のものはロックがかかっていたのでパス。短形のたてものをみたら、偶然扉が開いてるのを見つけた!すかさず堂々と住民のふりをして侵入。エレベーターに入る。小便臭い。清掃が行き届いてない証拠だ。最上階は17階らしい。押してみる。すんごい鈍い音をしながら登っていく。
扉が開く。汚いけど、なかなか見応えのある景色と建物。屋上庭園も発見。広島の元町アパートに侵入した時とちょっと似ている。リカルド的にはこの各階に設けられた庭を使った生活を望んでいたんだろうが、そんなに使われている形跡はない。おそらく、コミュニティにならないんだろう。にしてもこの変な造形は気になるし、よくわからない。リカルドは何を考えていたんだろう。

思考に耽っていると急に、エレベーターのブザーがなる。住人が帰ってきたようだ。ヤバイ!!頭を住人モードに切り替える。さも今から外出するかのように装うと決めた。エレベーターが開く。どうやら話し込んでいる。降りてきた。「Bonjour」と声をかけられたので、ニコニコしながら「Bonjour」と声をかける。どうやらこの住人はそんなにガラの悪そうな人ではない。挨拶もいい感じ。「Have a nice day!」的なことを言って、危険からは帰還した。ハラハラしたけど、いいものも見れたし、住人の雰囲気も知れたし、万事OK!

Picasso's Arenas

もうひとつとてつもない形をした建築を見てきた。円形のビル。意味がわからない。それがあるのはピカソ広場だという。意味わからないまま訪れたけど、やっぱり造形は???だった。ただ、子供から大人まで、いろんな人が広場に集まってたむろしているのは好感が持てた。
ここでも、ある女性が声をかけてくれて、名写真スポットを教えてくれた。今日は多分運がいい。いい1日だ。

貴族の晩餐

今夜の晩御飯はかなり豪華。エスカルゴ、ボロネーゼ、モッツァレラ、パテ、生ハム、そしてワイン。岩見にご馳走してもらった。フランス郷土料理のオンパレード。こんなん日本じゃなかなか食べられない。岩見は料理うますぎるし、本当に美味しかった。

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