欧州建築行脚⑩ ルーヴル美術館⑵ オルセー美術館
6月23日木曜日。
今日はルーヴル美術館へ行って昨日見られなかったヨーロッパ絵画を見てから、オルセー美術館へ。
ルーブル美術館
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版画
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細かい線、太い線を駆使して絵を構成している。スケッチの究極の形に見える。筋肉美が表現されると同時に、表情の描写、木々の素描も細かい。明暗の対比がわかりやすく、学びが多い。
かと思えば、輪郭線だけのものもある。それはなんだかかわいい。やはり影を捉えたければ線で面を作るが、形だけ捉えたい時は線でいい。
フランス装飾
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フランス王の武具、特に銃がめちゃくちゃかっこいい。合理的なフォルム、金属の美しい水平線。少し錆びれているのと、所々に見られる細かな装飾がこれでもかというくらいマッチしている。これら武具は使われることなく、当時からむしろ美術品として展示されていた。素材と構造、形態のマッチングがしびれる。建築でもこのような金属の水平線を作る事はできないだろうか。
武器は強さの象徴でもある。やはり強さとかっこよさは結びつく。
タペストリー
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画家が下絵を描いた後、何年もの年月をかけて作り上げていく。絵画とは違い、どこか民族的に感じるのはなんでだろう。永続性がないようにも見える。動かせるからか?壁画とは違い、移動させることができるのは面白い。糸でできているから、うまく言えないが、質量があるようにおもう。
メデューズ号の筏 ジェリコー
フランス絵画、新古典主義時代の末期。ダビッド派だが、カラヴァッジョの作風を取り入れる。ロマン主義の誕生。ドラクロワに受け継がれる。神は存在させない。無名の人々が主題。
生と死の境目を描いた作品。躍動感と明暗対比から人間の生について訴えかけてくる。
この美術館のなかで1番力強さ、生きることについてメッセージが強い作品だと思った。なのに写真を撮り損ねる、、、。大失態。
さらに1番期待してきたドラクロワの作品は、まさかの出張中。ショッキングすぎる。
オルセー美術館
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ヴィーナスの誕生
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女性の肉体美。普遍のテーマ。
ウィリアムブグロー ダンテ
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グロテスクな構図。人間の悪、残虐な本性みたいなものを沸々と感じる。
エルネスト・エベール チェルバラの女たち
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女性は日常の風景を映し出してくれる。そう感じた一枚。日常の厳しさ、子供が感じる純粋な未来、大人が感じる理不尽な世界。そんなさまざまなテーマが集結している作品。
カミーユ・ピサロ
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こちらもおなじ。明るい風景のなかに、少し寂しそうな表情をした女性。労働環境の改善を示唆しているという。
ポールシニャック
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色彩が強調されて、原色に近い色が使われている。ただ美しい船が描かれているのでなく、光と季節、天候の動きがダイナミックに描かれている。勢いのあるこの絵が気に入った。
日常を描く作品はいい。人の細やかな表情がよく見える。普段何気なく過ごしている風景や出来事も、絵画を通してみると美しさに気づかせてくれる。とくに女性がモチーフだと、柔らかな感情、悲しみなどが優しく表れてくる。この一見優しい絵画でも、社会性を持っているというのがまた面白い。貧困を暗示させたり、労働環境への不満を描いたり。見方はいろいろ、ただ画家本人たちの思惑を読み取れるとやはり面白いんだろう。
ヨーロッパ彫刻
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絵画をトレースしている団体を見た。それもかなり鮮明にコピーしている。絵画を学ぶにはやっぱりトレースが1番なんだろう。この人たちを見て、自分もヨーロッパ彫刻をひとつデッサンしてみた。デッサンしてみて気づくけど、やっぱり造形芸術はトレース、デッサン、スケッチなど絵としてインプットしなければ自分の中の使える道具にはなり得ない。そう気付かされた。
デッサンしなきゃダメだ。美術館に行って写真を撮るだけでは何も得られない。彫刻をデッサンする。建築をデッサンする。絵画をトレースする。全てトレーニング。建築の場合は図面を含むモデルを頭の中にトレースしなければならない。プロポーション、寸法、全て叩き込む。この旅行で線画だけじゃなくて、影を含むデッサンも、色彩を使った絵画も、取り組むべき。そうじゃなきゃ、ただ見ただけの旅になってしまう。何も得られていない。建築論を鍛えたければ確かに言葉と知識も大事だけど、線と面を扱う職業。形を捉えなければダメ。論理の骨格だけじゃ建築は作れない。そう感じた1日だった。