欧州建築行脚④ ル・コルビュジエ建築

6月18日金曜日。
今日は朝から晩までル・コルビュジエのパリ建築を巡る。

ブレネクス邸

ブレネクス邸 外観

大通りに面した住宅。ベンチに座ってスケッチする。パリはどこもファサードが揃っていて、そこに並んでブレネクス邸も。中は図面からしか想像出来ないが、サヴォア邸を想起させるように、内部と外部が入り組んでいる。

救世軍難民院

救世軍難民院 外観

カラフルなコルビュジエカラーに彩られた難民たちのための住居。今回、レセプションから入ると、いろいろ見ていいところが制限されるので、食堂から忍び込み鍵付き扉(なぜか最初だけ開いた)をくぐり抜けて建物に入った。
複雑なプログラムをピロティや屋上庭園を組み込みながら構成。計画当初のファサードは換気装置のついたガラス壁だったらしい。換気装置としての窓もまたコルビュジエの研究テーマ。ボリュームの使い方が複雑で面白かった。多様な空間と動線を生み出している。ロビーはこれまで見てきたコルビュジエカラーとは違う色彩。薄暗い、重たい色が多い。独特の雰囲気を醸し出している。柱梁が独立したような表現になっていた。ドミノの表現だろうか。

ル・コルビュジエの作品をいくつか見て感じたけれど、柱・梁などの構造を特徴的に見せているようなだ。ここにル・コルビュジエの理論が隠されているのだろう。そして同時に単純な幾何学の組み合わせとして見せることで、ピュリスム的な感覚を生み出しているのかもしれない。

スイス学生会館

「自由な平面」を体現した作品。一階が曲線で構成されていて、コルビュジエの大壁画が。これを見ると、コルビュジエのマルチさに驚かされる。ピロティが気持ちいい。学生が自然に話し合ったり、パソコンを開けたり。すごく自然な感じで使われている。学生寮の手本みたいな使われ方。日本にこんな学生アパートがあるだろうか。やっぱり開かれた共有空間が広く取られているマンションを作るべき。

ル・コルビュジエによる壁画

コルビュジエに細かなディテールはないのか。家具や壁はけっこう絵画のキャンバスのように使われている気がする。けっこう雑なふうに見える。

ブラジル学生会館

ブルータルな建築。光の彫刻。スイス学生会館とは全く異なる力強さを秘めている。ステンドグラスからの光が本当に美しい。傾斜した天井の荒々しいコンクリート、光沢のある黒い床面。

ロビーでスケッチ。太陽の光がコルビュジエカラーのステンドグラスを通して幻想的に変化する。教会のステンドグラスよりも強い光で内部空間に訴えかけてくる。

コンクリートスラブが円形に切り取られ、そこから入ってくる光と、コンクリートの荒々しさ、光の下と植木に見惚れた。

オザンファンのアトリエ住宅

画家オザンファンのためのアトリエ併用住宅。途中、外観を見学していると、住人が話し込んで出てきた。どうやらホームパーティーをしていたみたい。外観はもちろん「自由な立面」を体現しているが、作品集を見ると白いキューブで、前衛的に見える作品も、他の住宅と馴染んで見える。水平連続窓と、玄関につながる螺旋階段がカッコいい。

ジャウル邸

ジャウル邸 外観

夜の9時半にさしかかる。これでも街は全然明るい。ル・コルビュジエのヴォールト構造で、レンガ壁の住宅。パリの他の住宅に比べとても力強く、重厚感がある。パリの建築はどれも重たい。日本の建築を見ていると、薄っぺらい軽い建築が多いけど、パリはどの建築もディテールが濃く、ル・コルビュジエの、ディテールの少ない住宅でさえ重たい。基本的に塗装だからだろうか。今回はレンガで、外観しか見えなかったが、ジャウル邸はその中でも重たい。「自分達の生活を送る」という力強い信念みたいなものをもった住宅に見えた。

最近、自分は建築を「力強さ」という言葉ばかりで表現している。他に感じ方はないものか。コルビュジエ建築を見れば見るほどコルビュジエが、建築が分からなくなっていく。

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