欧州建築行脚③ ラ・ロッシュ・ジャンヌレ邸/ル・コルビュジエのアパルトマン/Bourse de Commerce

6月16日木曜日。

マルシェ

朝、岩見にマルシェに連れて行ってもらう。火・木・土限定で朝から昼にかけてやってるマルシェ。新鮮な魚介とか服とか、いろんなものが売っていて、かつ安いみたい。パリにはマルシェとか、外とシームレスにつながっている店とか、街に開かれた感じのものが多くて心が躍る。

マルシェ

お目当てのムール貝は見つからず、今回はパン屋でバゲットとクロワッサンを調達。これが本当に美味しい。本場のパンはレベルが違う。パリではバゲットは必須メニュー。外食すると高いから、これから基本メニューはバゲットで行こうと思う。

街のパン屋

ラ・ロッシュ・ジャンヌレ邸

ラ・ロッシュ・ジャンヌレ邸は美術愛好家のラウル・ラロッシュのためにギャラリーのある住まいとして設計された住宅。


サヴォア邸とは全く印象が違っていた。もちろん気持ちはいいけれど、サヴォア邸のように入った瞬間の感動みたいなのはなかった。その理由は環境条件なのか、自然がどうしても少ないからなのか。エントランスのコルビュジエの造形もやっぱりまだ全然わからない。コルビュジエはわからないことだらけ。


この住宅は、色彩について実験的。白を強調させるために、陽の光があたりにくい暗い場所には青、逆に明るいところには赤を塗装する、と作品集に書かれている。全部白に塗られているものを想像したとき、色に強さがあることはわかる。けれど実際はもっといろんな色が使われていて、もっと多様な考え方があるんだと思う。
橙色の食堂に入った時、南国を想起した。たしかに、敷地条件でどうしても陽が入りにくいところを紅くなることで、開放的な雰囲気を作り出すことができる。

食堂

のちに、先輩の勝部さんからラロッシュ邸は近代建築の5原則を厳しい制限下で実現していて、ル・コルビュジエはただの理論化じゃなかってことを証明していて、だからすごい、っていうのを聞いた。なるほどたしかにル・コルビュジエはあらゆる条件下で「標準」を適応しようとしているし、それが都市の厳しい敷地であったり、地方であったりもする。気候風土にも当てはめようとしているし、それがル・コルビュジエの目指したユニテなんだ、とも思った。

ル・コルビュジエのアパルトマン

ル・コルビュジエが実際に創作活動を行なっていた、集合住宅の最上階と屋上。「輝く都市」構想が具現化された場所。
スタジアムを真横にしながら生活する。空と緑が近い場所での生活。土壁をバックに、太陽の美しい光を浴びながら生活する。いい生活だなぁと思う。
これもいろんな要素が入り混じっていた。色彩は今回原色が多く、刺激的。彫刻的な壁も多かった。ル・コルビュジエの空間構成の方法は未だ勉強不足でよくわからなかったけど、本当に多様な建築家なんだと思わせられる。

Bourse de Commerce

「時間をつなぐ建築」安藤忠雄の言葉。
ここを訪れて、円筒シリンダーの1番上にのぼり、心から感動する。18世紀の天井絵画と構造体、19世紀のガラスのドーム屋根、そして安藤忠雄設計のコンクリートの円筒が見事に調和していた。過去と今がこんなにも共鳴することがあるのかと思った。
そして日本の安藤忠雄がここパリの中心でこんなにも見事な仕事をされているのを目の当たりにして、鳥肌がたつ。空間構成自体はシンプルで明快。明快であるが故の美しさ。しかし、この工事の大変さは並大抵のものではないと思う。
いろんな感情が浮かんできた。自分のこと、世界のこと、歴史、宗教、同世代で頑張っているライバル、友達、家族。1時間くらいボーっとして、この世界観に浸った。気持ち良かった。

ホームパーティー

スイスのATHに留学中の先輩、パリのベルヴィルに留学中の先輩、ラヴィレットの先輩とホームパーティー。仲間に入れてもらう。いろんな旅の貴重情報を頂いた。ここでも本当に刺激的な話ばかり。パリへ来て良かった。岩見に会えて良かった。本当に違う世界を見せてもらって、未熟さを感じつつ、これから頑張ろうと思えてくる。

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