菊竹清訓の建築理論 共有空間の中の「代謝」

10月1日金曜日。今日から夏休みが終わり、後期がスタート。後期初日は文献ゼミ。菊竹の考察を行った。

代謝ー変化するものとしないもの

 スカイハウスから動くもの、動かないものの違いと何に価値が置かれているのかという考察を行った。 先生によれば、動くもの・動かないものは、①構造体、②工事すれば取り外せるもの、③家具の3段階で分類できる。これはル・コルビュジエとアイリーン・グレイの分析から先生が導き出した結論だろう(既往論文分析する必要あり)。その中で何に価値観が置かれたのかを探っていく必要がある。


スカイハウスにおける2つの「代謝」

 スカイハウスは2種類の「代謝」が設定されていると思う。一つは「建物全体としての代謝」。もう一つは「共有空間の代謝」。 スカイハウスにおける変化するものとして「家族構成」がまず挙げられると思う。子供が1人増える。そうすると、子供1人分の部屋が追加で必要になる。そこで、「建物全体としての代謝」としては、ピロティで持ち上がった主室の下にユニットが取り付けられる。 しかし、部屋が一つ増えたとしても共用空間である主室は家族みんなで使用する。そのため主室のレイアウトも、ムーブネットや家具配置によって自由に設定できるようにしているのだ。これが「共有空間の代謝」だと考えることができる。
 重要なのは、住宅において個が変化すると、自ずと全体も変化するということ。個は全体に影響を及ぼすし、全体があって初めて個が成り立つ。 住宅設計ではもちろん家族の共有空間を考えるのだが、家族構成によってアクティビティが一室の中でどのように変化するのかについては今まであまり考えたことがなかった。基本的なことなんだろうけど、意外に変化を見出しづらいことだと思う。ただ、これがしっかり言語化できて初めてしっかりした根拠のもと、設計に踏み出せるのだと思う。思考の解像度を上げていきたい。


共有空間の在り方を探る可能性

 作品集では、スカイハウスの主室におけるレイアウトの変化例を9つ挙げている。どんな動線が想定されているのか、連関を分析してみると、家族構成による違いから現れる共有空間のあり方が見えてくるかもしれない。 また、変化するものと変化しないものを分類して、コルビュジェと比較してみるのも面白いかもしれない。異なる時代ではあるが、住宅供給が課題になっていたというのは共通しているし、菊竹がコルビュジェの影響を受けているとも考えることはできる。

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